新たな学士課程「地域未来共創学環」 来年4月開設正式決定
分野?文理横断&コーオプ教育が特徴 茨城大学に6つ目の学部相当組織
茨城大学の新たな学士課程「地域未来共創学環」の設置が、文部科学省から認められました(7月14日付)。来年(2024年)4月から学生を受け入れ、新たな教育をスタートさせます。
>>地域未来共創学環特設WEBサイト
地域未来共創学環は、学部等連係課程制度を活用し、本学の人文社会科学部?工学部?農学部との連係によって開設するもので、学部に相当する教育組織です。入学定員は40名で、卒業時には学士(学術)の学位を授与します。本学環の学生たちが学ぶ主たるキャンパスは懂球帝,懂球帝直播です。茨城大学では文理学部を人文学部?理学部に改組した1967年以来、人文社会科学部(2017年度に人文学部から改組)?教育学部?理学部?工学部?農学部という5学部からなる教育体制を維持してきましたが、このたび6つ目の学部相当の組織として、文理横断型の新しい教育課程が加わることとなります。
本学環では、分野?文理横断型の特色を生かし、ビジネスとデータサイエンスの専門知識とソーシャル?アントレプレナーシップ(社会的起業家精神)を基盤として地域課題の解決や新たな価値創出に挑戦できる、実践的な人材を養成します。
本学環が掲げる「地域と創り、地域と育てる」というコンセプトを象徴する取組が、企業や自治体で実際に働くことで大学での学びを実社会で応用するコーオプ教育です。「コーオプ実習」(長期有給実習)は2年次(無給)、3年次で必修科目、4年次は選択科目として教育課程に組み込まれています。この実習先として、現時点で茨城県内の35の企業等、20の自治体から協力の意向をいただいています。地方自治体における有給のコーオプ実習の受入はきわめて異例です。この新たな取組により、地域の未来へ向けた企業、自治体、大学の3者の緊密な連携による共創教育体制を実現させます。
本学環の学生は、ビジネスとデータサイエンスの基礎と、ソーシャル?アントレプレナーシップの科目を共通して履修したあとで、その発展である「地域ビジネスデザインプログラム」と「地域創生データサイエンスプログラム」のいずれかのプログラムを選択して専門性を深めます。さらに、連係3学部の授業科目の中から幅広く履修できるようにして、学生自身の課題探究や将来の進路選択をサポートします。
本学環の2024年度の入学者選抜では、入学定員40人のうち、一般選抜で31人(前期日程24人?後期日程7人)、総合型選抜で9人を募集します。このうち、一般選抜の前期日程では、①大学入学共通テスト、②数学または外国語(英語)の個別学力検査(募集人員は各教科12人)、③面接によって評価します。また、総合型選抜では、①集団活動、②面接によって評価します。文系?理系いずれの志願者も受験できる内容です。学生募集要項は9月上旬に公表予定です。
なお、同学環の設置が決定したことを記念して、コーオプ教育のビジョンについて議論を行うミニフォーラムを近日開催予定です。
太田 寛行 学長のコメント
地域未来共創学環が、実に3年以上の構想を経て実現することとなりました。
わが国の高等教育、とりわけ国立大学においては、系統的な学問分野の区分をベースとした専門教育が長く主流となってきましたが、社会の構造が大きく変化し、課題が複雑化している今、「大学教育とは何か」、「私たちの大学ではどんな学生を育てようとしているのか」という問い直しと実践が求められています。
本学では、全学的なディプロマ?ポリシー(学位授与方針)に基づく教育マネジメントを実施し、インターンシップや海外研修等の比較的長期の学外学修に専念できるiOPクォーター(iOP、internship Off-campus Program:3年次、第3クォーター)を作ってきました。また、アントレプレナーシップや数理?データサイエンス?AI等の全学的な教育プログラムも開発して、学生たちが幅広い知識を学ぶとともに、早い段階から多様な社会現場においてリアルな課題に直接触れる機会を設けてきました。その結果、これらの一連の取組によって、学生たちの学修に対する目的意識が高まり、学びを豊かにするのだという確信を得るようになりました。
そうした実績を踏まえ、日本の大学教育ではまだあまり取り組まれていない「コーオプ教育」の本格的な導入を模索し、構想を進めてきました。地域におけるコーオプ教育と、ビジネスとデータサイエンスを含む分野?文理横断的なカリキュラムを組み合わせれば、学生のスキルや視野が広がることはもちろんのこと、企業?自治体にも変化がもたらされ、まさに地域の未来を「共創」するという、その具体的な仕組みが生まれることになります。私たちのこの提案に、現時点で35の企業等、20の自治体の皆様にご理解、ご協力をいただいていることについて、心より感謝申し上げます。
私たちは、本格的に学生募集を開始します。受験生のみなさん、地域の未来の共創という新しい挑戦に、一緒に挑みませんか?
福与徳文(ふくよなるふみ) 新教育組織(学士課程)設置準備室長[学環長予定者]のコメント
茨城大学に新しい教育組織(学士課程)である「地域未来共創学環」が誕?します。
本学環は、これまでの学部とは異なり、分野?文理横断の学びと、企業?自治体などにおける実習との往還教育を特徴としています。
人口減少、地域の活力低下、空き家問題、人手不足、耕作放棄地など、地域には様々な課題が山積しています。こうした地域の課題を解決していくためには、一つの学問体系を身に付けるだけではなく、文系?理系を問わず、分野を横断した学びが必要となります。また、データにもとづいて判断する力を身に付けることや、新たな価値を創出する起業家精神を養うことも求められています。
地域未来共創学環では、ビジネスとデータサイエンスの基礎をきちんと学んだ上で、ソーシャル?アントレプレナーシップ(社会的起業家精神)を身に付け、課題解決のために役立つ科目をさまざまな分野(人文社会科学、工学、農学)から選んで学びを深めるというカリキュラムを組んでいます。
その上で、企業や自治体など、実際の現場で働きながら、大学で学んだこと(ビジネス×データサイエンス)を実践し、その中でさまざまな壁にぶつかったり、課題解決のための新たな提案を行なったりするというコーオプ教育を取り入れています。
地域の課題解決に向けて主体的に取り組んでいきたいと考えている皆さん。本学環で地域(企業??治体等)の方々とともに学び、地域の未来をともに創っていきましょう。
地域未来共創学環 基本情報
名称:地域未来共創学環(学部等連係課程実施基本組織)
入学定員:40名 学位:学士(学術) 開設時期:2024年4月 キャンパス:懂球帝,懂球帝直播
コーオプ教育について
コーオプ教育は実際に企業?自治体等の現場における就業体験を通して学ぶ、職業意識の醸成に効果的な教育であり、アメリカなどでは広く実施されてきた教育方法です。地域未来共創学環のコーオプ実習では、大学で学んだ知識?能力(理論)を、企業や自治体などで実際に働きながら実践?応用します。さらに、実習を経験することで、自身に足りない知識や能力を知り、大学でさらに学修する「理論と実践の往還型の学修」としています。
1年次 [必修]プレコーオプ演習:業界?企業研究を開始
2年次 [必修]プレコーオプ実習(無給):夏季休業期間の約2週間(60時間)の業務体験
3年次 [必修]コーオプ実習Ⅰ(有給)
:夏季休業期間+第3クォーターの約3か月間(180時間)の業務に従事し、学んだことを実践
4年次 [選択]コーオプ実習Ⅱ(有給)
:実習先と実施時期を調整のうえ、約2か月間(120時間)の業務に従事し、実践力を向上
【実習先】
35の企業等(卸売業、小売業、製造業、金融業、情報通信業、サービス業など)、20の自治体
〈企業等〉※五十音順
株式会社旭物産、株式会社伊勢甚本社、一誠商事株式会社、茨城いすゞ自動車株式会社、茨城県中小企業団体中央会、茨城県農業協同組合中央会、株式会社茨城ロボッツ?スポーツエンターテインメント、オリエンタルモーター株式会社、株式会社鹿島アントラーズ?エフ?シー、株式会社カスミ、株式会社協立製作所、株式会社ケーシーエス、香陵住販株式会社、医療法人社団善仁会 小山記念病院、サラヤ株式会社、株式会社常陽銀行*、新熱工業株式会社、関彰商事株式会社、全国農業協同組合連合会茨城県本部、東京海上日動火災保険株式会社、東京フード株式会社、日東電気株式会社、一般社団法人日本自動車連盟 茨城支部、株式会社東日本技術研究所、日立Astemo株式会社*、公益財団法人日立地区産業支援センター、株式会社日立ハイテクソリューションズ、株式会社日立パワーソリューションズ、株式会社ベジタブルテック、水戸商工会議所、水戸ヤクルト販売株式会社、有限会社モーハウス*、株式会社ヤマイチ、株式会社ユードム、有限会社横田農場
〈自治体等〉※五十音順
茨城県*
阿見町、石岡市*、茨城町、大洗町*、小美玉市、鹿嶋市、常総市*、大子町*、高萩市*、筑西市、つくば市*、東海村、那珂市、常陸太田市、常陸大宮市*、日立市、ひたちなか市、水戸市、守谷市*
※「*」が付された実習先では、プレコーオプ実習のみが実施可能となります。
※上記の内容は、2023年4月時点の内容であり、今後実習先が変更となる可能性があります。また、年度によっても受入状況が異なる場合があります。