地域未来共創学環開設 青空の下の記念式典で門出を祝福
―「次なる75年、150年に向けてのチャレンジ」
茨城大学は、この4月、学部相当の新たな教育組織「地域未来共創学環」を開設し、44名の「第一期生」を迎えました。4月10日(水)、懂球帝,懂球帝直播の共通教育棟1号館に整備された真新しい中庭(ライトコート)において、同学環の開設記念式典が開催されました。
茨城大学地域未来共創学環は、人文社会科学部?工学部?農学部との連係による学部等連係課程として開設されました。全員が「ビジネス」「データサイエンス」「ソーシャル?アントレプレナーシップ」を学ぶという分野?文理横断型のカリキュラムと、企業や自治体等で長期間にわたり有給の実習を行う「コーオプ教育」を特徴としています。コーオプ教育に関しては、現在、茨城県内の50以上の企業?自治体等が実習協力団体として参加するなど、地域のステークホルダーとの共創教育体制を構築しています。
抜けるような青空の下で行われた開設記念式典には、関係の教職員や学生たちの他、コーオプ教育に協力いただく企業?自治体からも多くの参加がありました。
太田寛行学長は、多くの新制国立大学が創立75周年、創基150年という節目を迎えることに触れながら、「この地域未来共創学環は、これからの大学の在り方に向けて、茨城大学が提案する、大学教育の先進モデルです。次なる75年、150年に向けてのチャレンジです」と述べ、「今日、参列している学環の第一期生は、新しい教育モデルを実践するパイオニアです。オリエンテーションでは、活気に満ちた学生が一杯だと聞きました。その活気を、とてもうれしく思うと同時に、教職員一同、身を引き締めた思いです」と語りました。
本式典においては、茨城県教育委員会の森作宜民教育長と茨城県経営者協会の笹島律夫会長を来賓に迎えました。
森作教育長は、「本学環の開設により、高等学校での総合的な探究の時間において社会課題に取り組んできた生徒が大学に入学して専門的な知識技能を修得し、コーオプ教育で実践することで、理論と実践の往還を実現できるだけでなく、高大の接続による連続性のある学びが展開されることを期待しております」と述べました。
また、笹島会長は、「本学環の取り組みが定着し、卒業生がこの地域経済の発展のために大いに活躍されることを祈念し、私ども経済界としてもこの取り組みが成功するよう連携、協力することをお約束いたします」と述べました。
その後、新入生代表として意気込みを述べた大友麻有里さんは、同学環への入学を決めた経緯について、「複数の学部が連携していて幅広い分野について学べることや、国公立大学初の試みであるコーオプ教育など、新しいことにチャレンジしたいと思い、進学を決意しました」と語りました。その上で、「これからの4年間で地域課題解決の手法を学びたい」という展望を示し、「漫然と情報収集するのではなく、自分なりの視点、問題意識から主体的、積極的に学習し、課題解決に向けた多様なアプローチの仕方について学んでいきたいです。また、データサイエンスを学ぶことで、エビデンスに裏付けられた説得力のある主張ができるようにもなりたいです」と決意を示しました。
最後は久留主泰朗理事と福与徳文学環長も加わってテープカットを行い、地域未来共創学環の門出を参加者全員で祝福しました。
式典後は交流会も行われ、出席した同学環の新入生が一言ずつ抱負を述べる場面もありました。企業や自治体の関係者と学生たちが積極的に活発に交流する姿は、まさに今後の「共創」の端緒を示すものでした。
茨城大学 太田 寛行 学長の挨拶(全文)
本日、桜咲く青空のもとで、地域未来共創学環の開設記念式典を挙行することができました。本学関係者だけでなく、これまでご協力頂いた、自治体と企業の関係者の皆様方にも、厚く御礼申し上げます。
ご来賓の茨城県教育委員会教育長、森作宜民様、茨城県経営者協会会長、笹島律夫様には、ご列席賜り、心より感謝申し上げます。森作様と笹島様のお二人のご来賓こそが、この教育組織の意味と意義を物語るものだと思っています。これは、地域の方々と一緒に大学教育を作っていくことの表明です。
2024年は、多くの新制国立大学で創立75周年を迎えます。また、各大学のルーツ校に遡れば、ほぼ創基150周年になります。この意味で、今年は新制大学にとって節目の年であり、人口減の社会に入った我が国の状況を考えれば、これからの先の大学の在り方を考える時とも言えます。
この数年、大学運営の関係者が集まると、少子化と人口減の社会となり、志願者確保の不安を語り合います。しかし、そのような変わりゆく時代に、大学がどう変わるべきか、どのような役割を新たに持つべきか、という前向きな話に踏み込むことは残念ながらあまりないのです。
そのようなもどかしい状況のなかで、この地域未来共創学環は、これからの大学の在り方に向けて、茨城大学が提案する大学教育の先進モデルです。次なる75年、150年に向けてのチャレンジです。
この教育組織のアイデアのルーツは、75年前、鈴木初代学長が、最初の新入生に語った言葉、「野心満々たれ」にあると思います。その言葉を学生だけでなく、大学も受け継いできて、その結果の1つが、この地域未来共創学環だと思います。そして、本学はさらなるチャレンジに挑み、人口減社会での大学の在り方を追究していくことになると思います。
今日、参列している学環の第一期生は、新しい教育モデルを実践するパイオニアです。オリエンテーションでは、活気に満ちた学生が一杯だと聞きました。その活気を、とてもうれしく思うと同時に、教職員一同、身を引き締めた思いです。
学環の開設にご尽力頂いた関係者の皆様方には、改めて、感謝申し上げます。
ありがとうございました。
地域未来共創学環1年生 大友 麻有里さんの挨拶(全文)
私が地域未来共創学環を知ったのは高三の夏休み前です。学校でポスターを見掛け、特殊な名前で最初は何をやるのかが分からず不思議に思いましたが、やりたいことがはっきりせず進路選択に悩んでいた時期でもあったため、文理横断型のカリキュラムに興味を持ちました。複数の学部が連携していて幅広い分野について学べることや、国公立大学初の試みであるコーオプ教育など、新しいことにチャレンジしたいと思い、進学を決意しました。
これからの4年間で地域課題解決の手法を学びたいと考えています。受験勉強の一環として新聞を読み始めたことで、例えば人口減少や人手不足などそれまで何度も耳にして、分かっているつもりになっていた問題がそもそもなぜ問題なのか改めて調べるまで全く分かっていなかったり、地域活性化のために身近で行われている取り組みも知らなかったりと、身近な地域に関する関心が薄いまま生活してきたことに気づかされました。それと同時に、何の問題意識もなく自分が参加していた地域のイベントが、地域の活性化に寄与するものであったことも知りました。これからは漫然と情報収集するのではなく、自分なりの視点、問題意識から主体的、積極的に学習し、課題解決に向けた多様なアプローチの仕方について学んでいきたいです。また、データサイエンスを学ぶことで、エビデンスに裏付けられた説得力のある主張ができるようにもなりたいです。
そのうえで、コーオプ教育において、自分が学んだことが実際の社会でどのように役立てることが可能なのかを検証し、それによって更なる問題意識を喚起し、学んだことをより深化させ、実践的な学習を踏まえて将来進むべき道を明確にしていきたいです。
消滅する職業もあれば新たに生まれてくる職業もあるように、世の中は変化のスピードがどんどん速くなっています。学環ではその変化のスピードについていけるだけの知力、コミュニケーション力が身につけられると思っています。入学式の太田学長の式辞では、「なりたい自分」を見つけるためのプロセスとしての「選択」に関するお話がありました。私はその変化に対応するために選択を重ね、自分自身も変わり続けたいです。変化を恐れず選択した後の変わっていく自分を楽しめるような大学生活を送りたいです。
どうぞよろしくお願いいたします。