茨城県内各地や茨大各キャンパスを見学し気候変動対策を学ぶ
―日越大学MCCDのインターンシップ
ベトナムの日越大学(VNU-Vietnam Japan University)修士課程気候変動?開発プログラム(MCCD)の学生たちが、11月上旬から下旬にかけて、茨城大学や茨城県内各地を訪れ、気候変動に関する研究や環境政策などを学びました。
日越大学は、日本政府の協力によりベトナム?ハノイに設立された大学です。茨城大学は、2018年9月に開講した修士課程気候変動?開発プログラム(Master's Program in Climate Change and Development: MCCD)の幹事校として、カリキュラムづくり、講義、研究指導、教員のコーディネートなどを行っています。日越大学では修士課程2年次に各プログラム幹事校へのインターンシップ(研究インターンシップ)が組み込まれています。
今年度は11月5日に学生8人と職員1人が来日し、3週間(うち2名は2週間)滞在しました。来日直後の同6日には、茨城大学の日立キャンパスを訪れて気候変動に関連する研究室を見学したり日立海岸で日本の堤防を実際に見たりしながら、気候変動の取組みに対する理解を深めました。
研究室訪問の案内役は、理工学研究科の横木裕宗教授研究室のブイ?ティ?ラン(Bui Thi Lan)さん。人文社会科学研究科の田村誠教授研究室のファム?ティ?オアイン(Pham Thi Oanh)さんも同行してくれました。ふたりともMCCDの修了生で、国費留学生として茨城大学博士後期課程に在籍しています。
訪れたのは、MCCDで講義経験のある、海岸工学を専門とする横木教授の研究室や、リモートセンシング技術の応用に取り組む桑原祐史教授の研究室、水環境に詳しい藤田昌史教授の研究室です。それぞれに所属する学生や留学生が、自分たちの研究内容について、英語で説明してくれました。
昼食は学食へ。
昼食後は日立海岸へ。田村教授から日本の海岸防護の方法や東日本大震災の津波の状況などについて説明がありました。
日本と同じく、非常に長い海岸線を有するベトナムは深刻な海岸浸食に悩まされています。学生たちは南北に延びる海岸線に目をやりながら、田村教授の話に耳を傾けました。
この日以降も、一行は茨城県内外の関係施設を見学。茨城大学の水戸、阿見の各キャンパスや駅南サテライトのほか、県庁、JICAつくば、国立環境研究所、国交省、経産省、数年前に深刻な台風被害を受けた大子町などを訪れました。
インターンシップの模様を、写真で振り返ります。
太田寛行学長を訪問し、お土産を手渡しました。
懂球帝,懂球帝直播図書館のサザコーヒーで歓迎会が開催されました。
気候変動研究を牽引する三村信男名誉教授の講義を聴きました。
JICAつくばではJICAの気候変動に関する取り組み、気候変動コースの研修事業について説明を受けました。
2019年の台風19号(令和元年東日本台風)で甚大な被害を受けた大子町にて、大雨で久慈川が氾濫し、沿岸地域が広範囲で浸水したという当時の様子を教えてもらいました。
大子町のリンゴ農家の方に気候変動による影響について話を聞きました。
茨城県庁で県の環境政策と地球温暖化対策について、環境政策課の職員の講義を受けました。
大井川和彦県知事を表敬訪問。「茨城ポーズ」で記念撮影。
茨城県霞ケ浦環境科学センターではプランクトンを観察し、霞ケ浦の環境について考えました。
阿見キャンパスにも訪れました。
阿見キャンパスの研究室ツアー案内役は、MCCD修了生で国費留学生として成澤才彦教授の研究室に所属するブイ?ハイン?マイ(Bui Hanh Mai)さん。
国立環境研究所内に設置されている気候変動適応センター(CCCA)にて、世界の気候変動適応に関する情報についての講義を受けました。
最終日に行われた成果報告会。フラ?ポン?コー(Hla Phong Ko)さんは「地球規模の気候変動に対する日本の取組みについて理解が深まった。ベトナムにおけるマングローブの炭素隔離分析に関する研究アプローチを強化できた」と話しました。
日本や茨城の環境関連の現状、取り組みを学び、刺激を受けた皆さん。ベトナムに帰国後、修士論文の執筆に取り掛かります。日越大学での学びを活かし、地球規模で深刻化する気候変動の問題の適応や緩和に向けて、邁進してくれるはずです。
(取材?構成:茨城大学広報?アウトリーチ支援室)