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令和6年度茨城大学学長学術表彰及び未来の科学者賞 表彰式?受賞記念講演会を開催
-学長学術表彰優秀賞3名、未来の科学者賞1名を表彰

 茨城大学では、先進的?独創的な研究を実施している研究者の特筆すべき成果をたたえる学長学術表彰を行っています。学会賞や文部科学大臣表彰等を受賞するなど優秀な研究成果を残した研究者には、優秀賞が贈られます。今年度は、石井 宏典 人文社会科学野教授、藤原 貞朗 同学野教授、鵜野 将年 応用理工学野准教授が受賞しました。3月3日に表彰式?受賞記念講演会を開催しました。

記念写真
 表彰式で太田寛行学長は、石井教授、鵜野准教授に表彰状と記念トロフィーを手渡しました(藤原教授はサバティカル制度利用中のため欠席)。
 太田学長はあいさつで、受賞された皆さん一人一人の研究成果や関連するエピソードを紹介し、「本当におめでとうございます。大学を代表して、拍手を贈ります」と祝福しました。
 受賞を記念した講演会では、石井教授と鵜野准教授が研究テーマをもとに講演をおこないました。

 この日はあわせて、教育学部附属学校園の児童?生徒を対象とした「未来の科学者賞」受賞者も紹介されました。教育学部附属中学校3年の石上奏さんです。石上さんはこの日の表彰式には参加できませんでしたが、事前に学長から表彰状を手渡されており、その際の様子が動画で配信されました。


各受賞者の受賞内容等は以下のとおりです。

優秀賞: 石井 宏典 人文社会科学野教授

石井先生の写真

 石井教授は、著書「都市で故郷を編む-沖縄?シマからの移動と回帰-」(東京大学出版会、2023年、総488頁)で、第25回日本社会心理学会賞出版賞を受賞しました。同書では、沖縄県のシマ(集落)を離れて暮らし働く人々の元を訪れ、参与観察や聞き取りを重ねることで、時代時代の共同性の移り変わりを追い、沖縄近現代史の1ページを紡ぎました。石井教授の30年以上にわたる丹念なフィールドワークの成果でもあります。
 石井教授は「フィールドワークの中軸は相手にならう(倣う/習う)姿勢。語りの風景をともに眺められるように」と話します。「相手にならう姿勢で臨むフィールドワークは、世代間に橋をかける作業のようなもの。近代化の過程で何を達成し、何を喪失したのかを見据え、これからの道を模索する試みです」と振り返りました。

優秀賞: 藤原 貞朗 人文社会科学野教授

 藤原教授は、著書「共和国の美術―フランス美術史編纂と保守/学芸員の時代―」(名古屋大学出版会、2023年)で、第33回吉田秀和賞を受賞しました。同書は、フランス第三共和政の末期の学芸員たちによる美術史編纂の実態を考察したものです。
 フランスの美術のアカデミーでは、かつてはマネなどのモダンアートが異端とみなされていましたが、普仏戦争や第1次世界大戦を経て、それらのモダンアートもフランス美術の正統として受容するような、ナショナリスティックな美術史観が形成されていきます。同書では、その歴史編纂を務めとした学芸員=公務員たちが、グローバル化が始める時代に適応し、あるいは葛藤しながら、ローカルな視点で美術史を再構築していく姿を、丁寧に描いています。
 吉田秀和賞は芸術評論分野で国内屈指の格式ある賞で、茨城県在住者の受賞は藤原教授が初めてでした。

優秀賞: 鵜野 将年 応用理工学野准教授

鵜野先生の写真

 鵜野准教授は、太陽電池用電力変換器の新技術である「部分影補償器」を開発し、電気学会学術振興賞(進歩賞)を受賞しました。太陽電池で効率良く発電するためには全てのパネルに均等に日差しが当たることが理想ですが、実際には電柱や雑草、鳥の糞などにより、部分的に影が発生することがあります。例えば、1枚100Wの発電能力のパネルが3枚あり、その50W分が影で覆われたとします。この時、発電量は計250Wとなりそうですが、実際は太陽電池の性質上計150200Wまで減少します。
 鵜野准教授らが開発した「補償器」は、電力を再分配して疑似的にパネルごとの能力を均一化することで、発電量を5~30%程度向上させました。鵜野准教授は今後、「影や湾曲が生じる非最適な場所でも発電量を向上させることができ、太陽光発電の普及を加速させることができます」と展望を語りました。

未来の科学者賞: 石上 奏さん(教育学部附属中学校3 年)

未来の科学者賞授与後の写真

 石上さんは、「サポートアプリ~栄一と目指せ健康~」で、全日本中学校技術?家庭科研究会主催「第23回全国中学生創造ものづくり教育フェア」プログラミングコンテストにおいて、最高位の文部科学大臣賞を受賞しました。
 このアプリは、自分の年齢を入力すると、渋沢栄一さんに扮したチャットbotが健康のために必要なトレーニングや食品アドバイスをしてくれる、というもの。茨城の納豆をPRしたり、心の健康にも気を配ったり、恋愛相談や脳トレもおこなうなど楽しいメニューとなっている。水戸に住んでいる人々は医療?健康に問題を感じていると考えている人が多いことがわかり、開発したそうです。