SDGsを学ぶ離島でのフィールドワーク
―学生たちが当事者として課題にかかわる
- 2023年3月30日
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- 人文社会科学部
- 研究
人文社会科学部には、フィールドワークついて座学と実地で学び、専門知識や技術を活かしつつ、アクティブラーニングに取り組む「社会調査演習」(通年4単位)という授業科目があります。
このうち野田真里教授(国際開発学?SDGs)が担当する演習では、SDGsをテーマとするフィールドワークを国内外で実施しています。2022年度は、三重県の離島地域である答志島(鳥羽市)を舞台に、社会調査演習Ⅰ(国際)の履修者8人に加え野田研究室の6人の学生たちが、「鳥羽市?答志島SDGsフィールドワーク2022」を4日間行いました。この地域は野田教授の研究フィールドであり、鳥羽市役所や市議会議員、地域おこし協力隊、島のキーパーソン等の協力を得て実施されました。
答志島でのフィールドワークのテーマは「新型コロナ禍における離島のレジリエンスとSDGs」。「レジリエンス」は、災害などのリスクに対する強靭性や回復力を意味する言葉です。野田教授は、「離島部はさまざまなSDGsの課題が顕著に現れており、それらは海外とも共通している。SDGsの視点から離島で学ぶことを通じて、海外、特に日本と関係の深い太平洋の島しょ国?地域の問題も自分ごととして考えられるようになるのでは」と説明します。
学生たちは、SDGsの目標?ターゲットに関連付けて、鳥羽市における「宿泊業の人材不足」「定期船の利用促進」「DXと市民社会」「持続可能な離島医療」という4つのテーマ別グループで調査を展開、また海岸の環境保護や道普請等の社会貢献活動を行いました。
伊勢志摩国立公園に位置する日本有数の観光地である鳥羽市の「宿泊業の人材不足」のテーマに取り組んだグループでは、島内の旅館の方や旅行会社、市長や市の関係部局等にインタビューを行い、学生自身も旅館のスタッフとして体験型学習をしながら、市の方針と島のニーズとのズレや、島への懂球帝,懂球帝直播と勤務形態の問題といった課題を明らかにしました。それを受けてグループでは、短期雇用が可能な大学生の人材のマッチングと交流を促すツールの開発や、業務のマニュアル化による雇用形態のパターン化などを提案しました。
このように、学生自身が当事者性をもって地域の関係人口として携われる課題解決型学習(PBL)として、分析に基づいた提言を行い、実践する点もこのフィールドワークの特徴です。参加学生の中には、後日改めて現地に赴き、島の旅館からの要望で繁忙期にアルバイトでお手伝いをしたり、鳥羽市役所のインターンとして島で働いたりした者もいたそうです。
フィールドワークの成果は報告会の開催や報告書の刊行を通じて、学内や鳥羽市?答志島の関係者?協力者に共有されました。(写真は野田研究室提供)
担当者
人文社会科学部 野田 真里 教授
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