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「茨城県学生ビジネスプランコンテスト2018」レポート(前篇)

レポート

さる2018年11月23日(金?祝)に茨城大学懂球帝,懂球帝直播で行われた「茨城県学生ビジネスプランコンテスト2018」。今回は中学生、高校生、大学生、高専生、大学院生から、初開催の昨年を上回る計39プランの応募があった。この日は1次審査を通過した10組がプレゼンテーションに臨み、ユニークなビジネスプランを披露した。前篇?後編に分けて、ひとつずつ紹介しよう。まずは前篇から。

①「藍苺(らんめい)GIRLSによる "奥久慈ブルーベリー" GAP認証農園プロジェクト」
~HIOKOファイナンスによる地域一体となった "奥久慈ブランド" 確立と茨城国体、オリンピックに向けての取り組み~
茨城県立常陸大宮高等学校3年 舘岡 藍加さん/2年 泉 紅音さん/2年 菊池 大樹さん/2年 後藤 翔さん

ibadaikh20181123_038 茨城県立常陸大宮高校商業科の生徒らが運営するHIOKOホールディングス株式会社は、昨年に続いて2回目のエントリー。日ごろ地域資源を活かした商品企画や販売戦略を手掛ける彼らが今回提案したのは、茨城県のGAP認証第1号を取得した農園で生産するブルーベリーを活用しての「奥久慈ブランド」の確立だ。同社ではすでにフレーバーティーやジュースの販売実績があるが、今後は茨城国体や東京オリンピックの来場客などを対象に販路を拡大し、さらなる「奥久慈」のPR効果を狙う。チーム代表の舘岡藍加さんは、「地元への愛からこのプランを発案した。県内企業や県産農作物にこだわり、県北地域の素晴らしさを発信したい」と熱く語った。

②アス食プロジェクト(アスリート食堂プロジェクト)で地域活性化
筑波大学2年 佐々木 雄平さん/2年 渡邊 悠さん/2年 日高 遼子さん

ibadaikh20181123_055 筑波大学で体育教育を学ぶ佐々木雄平さん。「部活動で忙しく、日常の栄養管理にまで手が回っていない学生アスリートの食生活を改善したい」との想いを抱えていた。そんななか、大学周辺には学生を応援したいと考える地域住民(主婦)が少なくないことを発見し、主婦と学生を「手作り弁当」で結び付けるサービスを発案したという。審査員からの「プロの料理人の作る料理との差別化をどう図るか」との問いに対し、佐々木さんは「料理の受け渡し時に生まれるコミュニケーションに大きな価値がある」と自信を見せた。観客席の保護者らも興味深そうに聞き入っていた。

③クイジン「料理を地域の人に共有するプラットフォームを利用することで、小規模の経済活動が生まれ、人と人が繋がり、地域の活性化を促す」
筑波大学4年 由衛 彰敬さん/4年 シュスター 悠司さん

DSC_0175 筑波大学の由衛彰敬さんとシュスター悠司さんは、アプリを用いた"食のシェアプラットフォーム"を提案。これは、個人が自分の得意料理を専用アプリ「クイジン」上に掲載し、他のアプリ利用者が位置情報や写真などを参考に、気に入った料理を注文?受取できるようにするというもの。飲食店よりも安く、都合の良い時間?場所で簡単に手料理を購入できることが特徴だ。料理を作る側としては、自分の料理を他者から評価されることで承認欲求を満たすことができ、あらかじめ人数を把握して料理ができるため材料のロスが防げるという。昨今急成長するシェアリングエコノミーに着目した意欲的なプランだ。

④常陸大宮発! "奥久慈オリーブ" 農園によるエコノミックガーデンプロジェクト」
~HIOKOファームによる市の遊休農地を活用した観光農園による地域創生~
茨城県立常陸大宮高等学校2年 菊池 大樹さん/2年 後藤 翔さん/3年 舘岡 藍加さん/2年 泉 紅音さん

ibadaikh20181123_078 「茨城県が『魅力度ワースト』だと言われるのは、日本一住みやすいためにアピール力が発達しなかったことが原因」と切り出したのは、茨城県立常陸大宮高校商業科チーム代表の菊池大樹さん。全国有数の農業産出額を誇る茨城県を、「食」と「観光」を結び付けた新しいアグリビジネスで盛り上げることを提案する。これまでブルーベリーの加工販売で築き上げてきた専門機関との連携を強みとして、全国的にもまだ多くない「オーナー制のオリーブ農園」を考えついた。苗の成長から収穫、油の利用、材木の加工と、生きたオリーブを所有することの楽しさが味わえることで、「農業離職者の減少と新しい観光産業の創出に貢献したい」と声を弾ませる。

⑤情報をシェアする吹奏楽の総合アプリ(サイト) 「シェア吹」
茨城大学3年 駒井 亮祐さん

DSC_0226 日本には、およそ120万人の吹奏楽人口がいるという。地域や学校行事で活躍する機会の多い吹奏楽部は部活動の中でも花形と言われるが、自身も茨大の吹奏楽団に所属する駒井亮祐さんは、こう指摘する。「吹奏楽を構成する多種多様な楽器をすべて指導できる学校教員は多くない。このことが、練習の長時間化や顧問教員の負担につながっており、吹奏楽部が"ブラック化"する一因となっている」。駒井さんが発案したアプリでは、楽器別の効果的な練習方法が動画や文章で学べるため、練習の効率化や活動時間の短縮が期待できる。将来的には、楽器を必要な期間だけレンタルできる仕組みも作り、誰もが今よりも手軽に吹奏楽を楽しめるような吹奏楽関連サービスのプラットフォームづくりを構想しているという。

⑥情報を着る時代へ Internet of Cloths
茨城工業高等専門学校5年 長谷川 泰斗さん/5年 斎藤 広明さん

ibadaikh20181123_098 「服は自身の顔といってもいい。しかし、あらゆるデザインや素材、機能が編み出された現代において、衣類としての『服』の可能性は限界にきているのではないか」。茨城工業高等専門学校の長谷川泰斗さんと斎藤広明さんのプレゼンは、ユニークな問いから始まった。そんな二人が提案したのは「AR服」。スマホなどの端末上でのみ存在する、新しい衣服の形だ。物理的に身に着けるのではなく、専用アプリで取得した服を、画像処理技術を駆使して仮想的に着るというもの。SNSなどのバーチャル空間に"生活"する現代人の潜在的なニーズを捉えた、先進的なサービスだ。

→後篇に続く

(取材?構成/茨城大学広報室)